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#044『家具の名前』

2018-08-06

今回は、ちょっとアンティーク屋さんぽい(?)ことを書こうと思います。

実は、先月からホームページをリニューアルする準備をしています。
目的としてはスマホやタブレットに対応する見やすい画面作りや、サイト内での動きがスムーズになるような配置換えなど、大きなデザインは変わりませんがご覧になりやすいホームページに生まれ変わります。
今週末には公開できると思いますので、どうぞご期待ください♪

そんな中、オープン以来ずっとお世話になっているデザイナーさんやプログラマーさんからアドバイスをいただき、各商品の名前表記を少しだけ見直すことにしました。

そこで、それこそネットで調べればいろんな情報がたくさん転がっていますが、先ずは本を開くようにしています。
下の写真は、年代や様式を細かく説明する年表です。
著者によって若干の相違はありますが、実物の写真を交え丁寧に書いてあるのでとても解りやすい資料のひとつです。
渡英の度に、古本屋さんを見つけると立ち寄って、良い本があれば買うようにしています。
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中には、家具の構造や木取り図などが載っていたりして、あらためて勉強になります。
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他には、当時の家具が並ぶ場面が描かれた挿絵などもあり、つい作業の手が止まります。
下の写真は1851年に開催されたロンドン万博にて、張り子(papier mache)で有名なJennens & Bettridge社がそれを施した家具たちを展示しているところです。
絵の中では“英国の素晴らしい技術”と紹介されている新しい家具たちが、今は本物のアンティークになり日々それに触れていると思うと何か感慨深いです。
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話を戻して、家具の名前を決める際、現地のバイヤーズガイドなども参考になります。
これは、商品名や年代、スペックやプライスレンジ(価格幅)などが書かれています。
ただ、年代を表すVictorianもあれば様式を指すVictorianがあったり、同じ椅子でもサロンチェアやサイドチェアとその表記はセラーごとにそれぞれです。
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下の写真を例に挙げると
『A Victorian walnut, inlaid and gilt metal-mounted credenza』とあります。
ざっくり訳すと、『ビクトリア期のウォールナット、象嵌が施され金メッキされた金属飾りが取り付けられたクレデンザ』になります。
『フランス産フォアグラのテリーヌ トリュフとレンズ豆のガトー仕立て 白イチジクと赤ワインソースを添えて』みたいですね(笑)
ちなみにイタリア語のcredenzaは、英語でいうsideboardやcupboardにあたります。
この上に鏡や飾りが付くとchiffonierと呼ばれることもあります。
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要は、意匠や様式に則した上で、素材や形容する言葉を加えた名前がつけられています。
それらを踏まえ、『サイドボード』と『ビクトリアンウォールナットインレイドギルトメタルマウンテッドクレデンザ』の間ぐらいを心掛けようと思います。

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