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#074『古いモノ 新しいコト』

2020-09-19

家具のメンテナンスや椅子の張替えと同時にお預かりしたアンティークのブロッタ―

表面の浮きが顕著な部分を貼り替えるため工房へ
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それぞれのパーツが膠(ニカワ)でしっかりと接着されていて、椅子などと異なり張替えや組み直しを前提として作られていないため、経年と共に硬化が進んだ革を傷つけないように慎重に作業しました。
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無事バラバラになりました。
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中には革の型崩れ防止、または補強の為と思われる薄い鉄板が入っていて、膠と錆に覆われていました。
分解しないと見ることができない構造部分も、今後何かを作る時に役立ちそうです。
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あまりやり過ぎると折れてしまいそうでしたので、表面をある程度綺麗にしたらこの作業は一旦終了。

次は、新たに貼る革の準備に取り掛かります。

実はこの革、以前全張替えを行ったチェスターフィールドソファ(ウィングバック)の背面に張られていたもの。
座面や背もたれなど、人が直接乗る部分とは異なり伸びや擦れがなく綺麗な状態でしたので、「いつか何かに使うかな?」とずっと保管していました。

偶然、ご希望の色味や雰囲気と近かったので、ギリギリ取れそうな部分から切り出しました。
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このまま貼ると断面(切り口)が見えるので、裏に折り込めるように出来るだけ薄く削ぎます。
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寸法通りの革が出来れば、後は元に戻す作業です。
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椅子張り作業の応用や専用の接着材料なども用い、想像していた通りの仕上がりになったと思います。
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と、いつも通りの作業のように書きましたが、実は初めて触るモノでしたので探り探りでした。

今回は長年に渡るお持ちの家具たちのメンテナンスを通して、その信頼関係に基づきご依頼いただきましたのでお受けいたしましたが、何とか形になってホッとしているというのが正直なところです。
もっと言うと、「破れずにバラバラになって良かった」と「持っていた革が足りて良かった」の2点に尽きます。

語弊があるかも知れませんが、もし「アンティークのブロッタ―を修理できますか?」とだけ尋ねられたなら、出来ないとお答えしていたと思います。
なぜなら、一度も触ったことがなく、そのモノに対する経験値がないため。
ましてや仕事としてお受けする場合、いただく対価に相応しいモノになるか(できるか)どうかを事前に判断できないため。

もちろん知らないことや新しいモノに日々挑戦することは大切です。
でも、それは自分たちで買い付けたモノ達でメンテナンスの経験を積んでからと考えていますので、お客さまからお預かりした大切にされているモノで試すことではないですよね。

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ということで、その新たな経験値を得るため、もとい新たなアンティークスを迎えるために次の買付け準備に入っています!←若干無理矢理な感じですみません(笑)

まだまだ予断を許さない状況が続いていますが、現地のオークションなども少しずつ動き出しているようです。
現在入荷時期は未定ですが、新たな手法とディーラー陣のより一層のご協力のもと今までとクオリティの変わらない買い付けを予定していますので、お探しのアンティークスなどございましたらお気軽にご相談ください。
 

 

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