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#091『二人のウィリアム・モリス』

2022-06-05

意味深長なタイトルで書き始めた今回のブログですが、先ずは2枚の写真をご覧ください。

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Heaton Butler & Bayne (est.1862-1953) 

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William Morris & Co Westminster (est.1901-1958) 

いずれも次回のコンテナで到着予定のモノですが、イギリスの同じ教会に並んで入っていたものになります。
パネルは上下2枚で構成されていて、繋げた大きさとしてはそれぞれが幅約90cm、高さ約180cmあります。

丁度、畳1枚と等しい大きさですので、これらが壁面に並ぶと圧巻ですね。

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元は宗教的な意味合いが強かったステンドグラス、19世紀以降はそれに限らず建築的装飾としてもたくさん作られるようになり、イギリス国内で多くの工房が活躍していました。

既出のHeaton Butler & Bayneは個人的に好きな画家Henry Holidayと共にステンドグラスを作ったことで有名ですし、絵付けの繊細さではShrigley & Huntも好きです。
他にも多くの教会で見られるClayton & BellやCE Kempe、そして最も有名なところではEdward Burne Jonesの絵と共に知られるMorris & Coなど

下の写真は、以前商品として扱ったモリス商会のオリジナルステンドグラスピース。
このままファブリックや壁紙のデザインになりそうですね。
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ということで、タイトルにある『二人のウィリアム・モリス』についてですが、実は文字通りウィリアム・モリスは2人存在しました。
しかも、同じステンドグラスのメーカーとして。

どういうことかと言うと、その一人は言わずもがな日本でもよく知られたウィリアム・モリス(1834-1896)、もう一人は“じゃないほうの”ウィリアム・モリス(1874-1944)
丁度、親子ぐらいの年の差です。

当時の経緯としては、ステンドグラスを生業としていた父リチャード・モリス(1900前後没)の跡をその息子ウィリアムが継ぎ、1901年に自身の名前でウェストミンスターにステンドグラス会社(William Morris & Co Westminster)を設立、その後、実際に半世紀以上にわたって兄弟たちと共にイングランド国内の教会にたくさんの窓を遺しています。
ちなみに、イギリスではその紛らわしさを区別するためMorris studioと呼ばれていて、冒頭の教会窓の一つはこのスタジオの作品になります。
(これらを知った上で買い付けていますのでご安心ください。念のため)

それにしても、当時も何かしらの法律や社会的ルールはあったと思いますが、今の時代は有名ブランドや老舗と同名同業種(ややこしい名称含む)を営むなんて考えられないですよね。
設立当時、そこに何らかの意図があったのかはもちろん知る由もありませんが、モノは嘘をつけませんのでモリススタジオも立派なステンドグラスを創る工房だったのは事実です。

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作者不詳・18世紀頃イギリス

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作者不詳・16世紀頃イギリス

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それより古くなると、作者どころかガラスかどうかも判らない感じになります(笑)

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余談になりますが、100年後に誰かが『三人のウィリアム・モリス』とブログを書くかも知れない、三人目のウィリアム・モリスも記しておこうと思います。

アメリカを代表するガラスアーティストの一人、ウィリアム・モリス氏(1957-)
現在は引退されているようですが、2002年にアメリカで一度だけお会い(と言うか、簡単なご挨拶のみであとは吹きガラスのパフォーマンスを遠くからワクワクしながら観ていただけです)して、ステンドグラスしか知らなかった者としてとりあえず衝撃を受けました。
作品集の写真はここで載せられないですが、William Morris Studio / glass blowing などで検索するとすぐに出てくると思いますので興味のある方はどうぞ

そして、次回のコンテナ入荷もどうぞご期待ください☆
 

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