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直さないという選択

2023-05-05

イギリスの古い建物に入るステンドグラスたち。

下の写真は、以前の買い付けに際し移動の合間で撮ったものですが、いずれも昼間の屋外からのため光を透過していない暗い状態です。
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どの街を訪れても、必ずと言って良いほど目にする立派な教会や古い建物。
上の教会は、人物が描かれた立派なステンドグラスが入っています。
中の照明は灯っているようですが、まだ外のほうが明るいためガラスの色味ははっきりしませんね。
おそらく中央はJesus、左は剣を持っているので聖パウロ(足元に英語表記のPaulと書かれていますので間違いないと思います)、ということは右は聖ペトロと考えるのが自然でしょうか。

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また違う街では、車から撮ったため一部しか確認できませんが、ガラスの割付けから少なくとも8名の人物像が描かれているように見えます。
一概には言えませんが、もし中央がJesusならそれを挟むよう左右に大天使や聖人、聖母マリアなどが並び、周りに天使が配置されていることが多いように思います。
実際にシルバーステインの反射陰影から、写真向かって右側は聖母マリアだと思います。
また同じ理由から、中央の人物は羊ではなく子どもを抱いているように見えますのでヨセフの可能性もありますね。
機会があれば、いつか中から見てみたいです。

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こちらの教会には、手流しで作られた淡い色味の板ガラスが、複数色使われて組まれた格子窓が入っています。
雰囲気的にかなりの年月が経っているように思いますが、この教会が建てられた当時からのモノかどうかは判りません。

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もちろん住宅にもたくさん取り入れられています。
こちらの窓は部分的にトランスルーセント(半透明)のガラスが使われていますので、光を透過しなくても色が判別できますね。

扉や欄間部、窓や間仕切り、写真のような出窓でもよく目にします。
店頭に同じデザインのステンドグラスが複数枚並ぶ理由の一つですが、建物の規模によっては大小同じデザインで20枚を超えるセットもあったりします。

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そして、外部にむき出しとなった黒い柱や梁、その間を埋める石や漆喰の壁が特徴的なハーフティンバー様式の住宅。
この時代の建物にもステンドグラスは多用されていますが、色板よりはロンデルを含めた無色透明のガラスが主な面積を占めます。
屋内から外を見ると、背景が少し歪んで見える趣ある窓なんでしょうね。

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最後は、人物が描かれたステンドグラスですが、今までの写真と同じく光を透過していない状態です。

10年以上前の話ですが、何代にもわたりステンドグラスを生業にされていたイギリスの修復工房(残念ながら今はありません)で、「本物を見て触りなさい」という言葉と共に譲っていただいたモノになります。
以来、ずっと工房に保管していましたが、先日クリーニングしたところ色々な気付きや発見がありました。

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クリーニング前から見えていた大きな割れや抜け落ちた部分の他に、たくさんのクラックも判るようになりました。

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また、教会に入っていた頃にパテで修復された痕があったり

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そのパテを取ると、向こうの景色が見える穴が開いていたり…
一瞬ドキッとしますね。
破断面を見ると屋外側から何かが貫通していますが、スリングショット(ゴムパチンコ)を用いた子ども(?)のいたずらだと思います。

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結果、白いシールを貼った通り100箇所を超える割れがありましたが、とりあえず木枠を作って収めました。
また、推測の域を出ないためここでは書きませんが、このJesusが入っていた教会が辿った運命のようなものも知ることが出来ました。

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今に残る古くて状態の良いモノは、いずれも運が良かったんですよね。

ただ、本物という意味ではこの窓もアンティークの本来の姿と言えると思います。
光を透過させると幸いお顔は綺麗な状態で残っていましたので、このまま店頭へ運んで保管します。(販売予定はございません)

もし興味のおありの方がおられましたら、いつでもご覧いただけますのでお気軽にお声掛けください。
 

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