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#016『椅子張りいろいろ』

2016-08-14

1900年頃に制作された、ヘップルホワイト様式のソファ。
良質なマホガニーが使われ、彫刻やインレイなど丁寧な仕事が窺える逸品です。
実は2012年に買い付けたのですが、その後クレアアンティークスの倉庫で4年ほど眠っていました。

店頭に並べなかった理由としては、特にありません。
中々、このコまで手が回らなかったというのが正直なところです。。。

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(上は、買い付け時に現地で撮った記録用写真です)

椅子のメンテナンスは、テーブルやキャビネットなど他の家具たちに比べて時間が掛かります。
特に、人が腰掛けるモノという点で気を使いますので、一度バラバラにして組み直すことを通常メンテナンスとしています。
(当時の接着剤として使われていた膠が今もしっかりと付いており、無理に分解することで木自体が折れそうな部分は外しません)

分解する過程で必然的に生地を剥がすことになりますので、新しく張る生地が決まってからのメンテナンスが効率も良く理想的かも知れません。

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実際に生地を剥がす事で今まで見えなかったところも確認出来ますし、販売する側としても自信を持ってお薦めできる安心感にもなります。

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英国の某オークションカタログには、既に生地が剥がされた状態の椅子も多数出品されています。

一見、これがどんな仕上がりになるのかお分かり頂けないかと思いますが、バイヤーにとっては中身が一目瞭然ですし、職人にとってはこの方が一手間省けてありがたい逸品かも知れませんね。
そして、その硬さやクッションの厚み、曲面の作り方や柄の合わせ方など、実際のところは生地を張る職人に委ねられる部分が大きいと言えます。

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話を戻しまして。

蓋を開けると、今までに幾度か張り替えられていたことが確認できました。
そして、ずっとスプリングクッションにて直されて来た様ですので、今回もスプリングを残しオリジナルに近い形で張替えを行いました。

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麻のベルトは伸びきっていたり破れていることが多いので、本体組み直し後伸縮性のあるベルトに入れ替えます。

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木部の再塗装とポリッシュ(ニス)が終わると、お選び頂いた生地を立体的に張ります。

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1900年代 Mahogany シールドバックソファ、メンテナンス完了致しました☆

 

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