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#061『蓋を開けると』

2019-07-07

ホームページで工房ブログをスタートして、最初に書いたのが『職人のコレクション』というタイトルでした。
そこからも月日は経ち、コレクションは日々少しずつ増えています。

下の写真は、先日デスクやチェストの中から出てきた写真やポストカードです。
現地で買い付けるアンティーク家具の中には最近まで使われていたモノもありますので、もちろん全てが古いモノというわけではありませんが、引き出しを全て抜いた奥に挟まったり落ちたまま忘れられていた(?)モノなどは年代を感じます。
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でも、家具を実際に触り始めて発見するのは、モノに限ったことではありません。

下の写真は、現在も店頭で販売している椅子です。
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現地で買った際は「おおよそビクトリア時代中期」と聞いていましたが、張替えの際に座面を外すと小さな刻印が出てきました。

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拡大してよく見ると、『JAMES WINTER 101 WARDOUR ST SOHO LONDON』とあります。

実は、この刻印は1823年創業の家具屋さんのものでしたが、1840年創業者の死後すぐに101番地から151番地へ引越されました。
その後、会社が閉められる1870年までは151/153/155の番地が入るとのことです。
あと20年ぐらい経つと、少なくとも200歳を超える椅子になるんですね。

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そして、この椅子は本日UPしたのですが、本体が揺れていたので早速張替え中の表記にしていますm(_ _)m

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座面を剥がすと今までに幾度も張り替えられた跡があり、前面中央の一部は過去に修復されていました。

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上手に直されています。

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そして、よく見ると隅木に鉛筆で『RECOVER FEB 1982  H(A?) KNAPMAN HEATHFIELD SX』と書かれています。

1982年2月に張り替えメンテナンスを行った、ナップマンというお名前の職人さんが記したのでしょうか。
ヒースフィールドはイングランド南東部サセックスに実在する地名ですが、このSXがSussexのChapman code SSXを意味するのかどうか。。。
シルバーの刻印では、SのみでSheffieldを表すこともありますので、これは次回の買付けでナップマンさんを探さないといけないかも知れませんね(笑)

(追記7/12)
イングランドで長く続けておられる現地のアンティークディーラーさんにお尋ねしたところ、「直接は知らないが、彼のことは聞いた事があるよ」とのことでした。
37年前のサインですので、当時のご年齢によっては現在もご活躍されているかも知れませんね。

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ということで、現在バラバラになっていますが、この椅子も200歳目指してビシッと仕上げます。

組み直しと張替えが完了したら、写真を含めあらためて商品ページを更新いたします☆


(追記7/14)
『RECOVER JUL 2019 CRAIR ANTIQUES KYOTO JAPAN』

商品に文字を書いたのは初めてですが、次はいつどこで蓋が開けられるか楽しみです♪
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ということで、メンテナンス完了いたしました!

 

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