前回のブログで書いた暖炉が似合う季節になってきました...ね...
だいぶ期間が空いてしまいましたが、先日お招きいただいた、たいへん貴重な体験も交えてブログを更新しようと思います。
先ずは、こちらの工房で仕上げに使用される金箔です。
高級なふりかけみたいですよね(笑)
そして水銀
実は先日、特別に作業場やお仕事を見せていただけるとのことで、しかも「もしよかったら、息子さんも一緒に」と言ってくださり、弟子を連れて見学に行って参りました。
こちらの会社さんは、国内でも数少ない水銀鍍金(すいぎんときん)や焼付漆を専門とされていて、その古典技法を用いて全国の神社仏閣の装飾金物制作、国宝や重要文化財の復元や修復なども手掛けられています。
この水銀鍍金は、文字通り水銀を用いて銅の表面に金箔を貼るのですが、ただくっ付いているわけではなく、その接する部分が合金化するため剥がれないとのことです。
弟子には、「勝手に物を触ってはダメ、はしゃぐのもダメ」と言い聞かせて伺いましたが、僕のほうがあれやこれやとつい(笑)
実際に水銀鍍金の工程を見せていただいたり、他の技法を用いた古色仕上げや地金の下処理なども教えていただき、弟子共々大興奮でした。
外が暗くなるまで本当の意味でお邪魔してしまいましたが、息子は余程楽しかったようで、いただいたサンプルをその日のうちに額に入れて部屋に飾っています。
ということで、ブログを書くため息子の部屋から勝手に借りてきましたっ ( ̄^ ̄)ゞ
↑裏面(地金の銅です)
↑鍍金面
通常は金箔をもっと重ねて厚みを増すとのことです。
弟子が磨きを教えてもらった痕です。
全体を丁寧に作業すると、鏡面のように美しく仕上がるんですね。
次は光の反射で燻し銀のようにも見えますが、銅板の端材を使って黒く変色してくださったサンプルです。(焼付漆ではありません)
そう言えば、漆は英語でjapanと呼ばれるのはご存知かもしれませんが、向こうのホームセンターに行って金物コーナーに行くと、箱やパッケージにjapannedと書かれているモノがあります。
一見、日本製?と思ってしまいますが、漆器のように黒く塗装された製品を指します。
家具の資料を見ていても、japanned(漆)やebonized(黒檀)と表記されているものも多く、実際に漆や黒檀が使われていなくても、(それらのように)黒く塗られたモノを形容する言葉として一般的に用いられているのが面白いですね。
さておき、真ん中を境に下処理の違いで色味が異なるのが判ります。
それはそうと、下に彫られた鏨模様のクオリティがもう。。。端材って言うと罰があたりそうですね。
見るもの全てが刺激的で、学びの多い楽しい時間でした♪
本当にありがとうございました。
と、これで終わるとただの日記になってしまうので、ここからはアンティークのメンテナンスに於ける色々な素材の仕上げについてご紹介します。
今までの流れを踏まえ、先ずは日々の作業で扱う金色と言えば、額縁や真鍮製品のメンテナンスがあります。
でも、gilded frameなどのメンテナンスに金箔を使うことはなく、イギリスで出会った修復用の材料を使っています。
と言うのも、過去に剥がれた部分を金箔で直そうと試みたこともあるのですが、技術が伴わないことと、部分的に金箔を貼ってもそこだけ悪目立ちする結果となりました。
そこで、向こうの職人さんに教えていただいたのが、今使っている塗料になります。
下の写真のように2色あり、木や石膏への定着も良く、最後の表面の仕上げは顔料を使って周りと馴染ませることも出来るので重宝しています。
続いて、真鍮の表面の仕上げに関しては、磨き具合の調整と古色仕上げのどちらかが基本となります。
下の写真は、右半分を磨いたところです。
私どもではまた違う方法になりますが、毒々しい見た目の薬品を用いて黒くすることもあります。
↓それを再度磨いて、少し赤味に振ったブロンズ色にしたり
↓ また違う方法を用いてもっと黒くしたりと、メンテナンスする対象物に合わせて使い分けています。
余談ですが、これは昔お世話になっていたバイク屋さんに教えていただいた金属の着色方法を応用しています。
今思えば、どこにどんなヒントがあるかわからないですね。
表面の仕上げということで言えば、一番多い作業は家具の塗装になります。
下の写真(一部加工しています)は、字を書いた際に文字の痕が付いてしまいました。
原因は、過去のメンテナンスに於いて、古い塗装(ポリッシュ)の上から新たに吹き付け塗装されたと推測されます。
以前のブログで書いた接着剤と同じ理屈ですが、劣化した古い塗装を剥がさず塗り重ねても、上から圧を加えると古い塗膜の層から剥がれることが多いです。
実際、この家具に関しては、爪で擦るとパリパリっと剥がすことができました。
そのため、時間は掛かりますが古い塗膜を剥離して
再度、当時と同じ技法で塗装すると雰囲気良く蘇ります。

今回の最後は、昨日納品が完了したドレッシングテーブルです。
こちらは、天板に日焼けとポリッシュの剥がれが見受けられましたので、剥離再塗装をすることにしました。
ただ、当初は天板だけを塗り替える予定でしたが、しっかり見るとココもソコもと塗膜が剝がれそうなところが見つかり、全体を剥離することにしました。
色味は剥離前と変えず、艶感はお部屋に合わせて七分艶ぐらいで仕上げました。
今回は写真も多くなってしまいましたので、素材を変えて次回に続けたいと思います。