TOP

#125『Surface/Texture~その2~』

2025-12-06

前回の続きです。

今回は、素材がそのまま仕上げになる革と生地について書きたいと思います。

下の写真は、ライティングビューローのレザートップです。
blog251128_01.JPG
実はこちら、買い付け時に一度イギリスで新しい革に貼り替えていただいたのですが、写真の通り、全体に凹凸が見受けられます。
木や金属のように、埋め木や研磨など、表面に手を加えることで綺麗にできれば良いのですが

blog251128_02.JPG
どんな革も元々は生きものなので、ある程度のシワや傷は許容範囲なのですが、字を書く際にペン先が取られるぐらい大きな凹みが全体に出ているため、今回行き先が決まったのを機に貼り換えることにしました。

blog251128_03.JPG
しばらくして、イギリスから無事に到着しました♪

blog251128_05.JPG
早速中身をチックします。
国内で入手できる椅子張り用の革は厚くて柔らかい印象がありますが、イギリスで家具用になめされた革は薄くて表面が硬いです。
牛の種類が違うのか、なめし方が違うのか。
以前、違うデスクに椅子張り用の革を貼ってみたのですが、その厚みと柔らかさから、表面に凹凸は無いもののペン先が沈んで引っ掛かるため字が書き難かったのを覚えています。
この薄さと硬さが、レザートップとして良いんでしょうね。

今回は、せっかくなので色をお選びいただき、現地の革工房さんには今ある中で一番表面の綺麗なモノを加工するようお願いしました。

blog251128_06.JPG
同時に、現在貼ってある革を剥がす作業に入ります。
blog251128_07.JPG
革自体が凸凹しているのか、木の天板が凹んでいるのか、剥がしてみるまで正直判りませんでしたが、原因は革のテクスチャでした。

blog251128_08.JPG
もし綺麗に剥がせたら、他の何かに使えるかなぁ?との淡い期待は粉々に(笑)

blog251128_09.JPG
blog251128_10.JPG
残った革の繊維と膠を全て取り除くと鉛筆の線が出てきましたので、この層が革を貼る面になります。

blog251128_11.JPG
表面を綺麗にして

blog251128_12.JPG
新しい革を貼ります。
ちなみに、薄くなめされた革をビューローのように折れ曲がる天板に貼る際は、膠や瞬間接着剤のように硬化するタイプではなく、少し弾力性のある接着剤の粘性を調整して使用しています。

blog251128_13.JPG
革がしっかりくっ付いたら完成です。

そして、最後は生地について。
Textureには生地や織地という意味もありますので、繰り返しになりますが、椅子に生地を張る場合はその色や肌理、手触りがそのまま仕上げになります。
blog251128_14.png

また、生地がボタンで絞られている場合は、その規則的な膨らみや模様も重要な仕上げ要素になりますので、先述の革とは異なり、現状の生地や土手(中のクッション材)を剥がすのも気を使います。
blog251128_15.jpg

もちろん、全ての生地が剥がせた時点で、本体の組み直しや再塗装は必須です。
blog251128_16.jpg

今回は、同時に2種類の椅子、計3脚をお買上げくださり、いずれもボタン絞りで仕上げるご依頼をいただきました。
blog251128_17.JPG
また、ご希望に基づき、元々黒い顔料が塗られていた一人掛けの椅子は、一旦剥離してソファの色味に近づけました。
blog251128_18.JPG
上の写真は艶合わせ前のものですが、その後、本体のメンテナンスが完了すると、椅子張り専門の工房へ剥がした生地と共に持ち込みます。
それらを元にボタンの数やクッションの厚みを決定して、丁寧に作業していただきます。
blog251128_19.jpg
ということで、先ずは元々ボタン絞りではなかった一人掛けのアームチェア2脚を、立体的に美しく仕上げてくださいました!

と終えたいところですが…
blog251128_20.jpg
仕上がった椅子の背面をご覧になって、お気付きいただけるでしょうか?

下の写真は、別のボタン絞りの椅子です。
blog251128_21.JPG
blog251128_22.JPG
通常は、前面のボタン絞りを仕上げてから、木の本体を挟んだ背面から蓋をする要領で生地を張ります。

下の写真の通り、横から見ると前面生地→本体→背面生地の順番になります。
blog251128_23.JPG
なぜなら、表のボタンを裏から引っ張った際の結び目や凹凸は、木のフレームの厚みで出来る空間に収まりますので、最後に裏から生地を張ることで全て隠れます。
そのため、下の写真の椅子のように、通常は生地を張るため背面に一段彫り込んであります。
blog251128_24.JPG
で、もう一度今回完成した椅子の背面をご覧いただくと、前面で全てを完結させて、背面からは生地を張っていないのがお分かりいただけるかと思います。

実は、元々ボタン絞りではない椅子でしたので、背面に生地を張るための段も彫ってありません。
もし、同じ張り方で仕上げる場合は、先ず前面から裏向けた生地を張り、その上にクッションを入れて、表面を張れば良いのですが、ボタンで絞る場合は、裏から引っ張る作業があるため、先に背面の生地を張ることが出来ません。
blog251128_25.jpg
今回、どうやって背面の凹凸を出さないようにされたのか、またどの順番で張ったのか、謎解きのような作業でご対応くださいました。
実際のところ、府県を跨いだ2つの上手な椅子張り工房さんにご協力いただき、無事に完成して一同安堵しています。
現在、引き続き二人掛けのソファも作業していただいていますので、全てが完了したら、その仕上がりを納品事例でご報告できればと思います。

ということで、直近の作業を交えて色々な素材を使った仕上げをご紹介しましたが、椅子張りに関しまして、クレアアンティークスではボタン絞りと縫製が必要な椅子は信頼の置ける椅子張り工房さんにお願いしています。

blog251128_26.png
こちらの2脚はどちらもボタンバックのビクトリアンアームチェアですが、現在イギリスの倉庫に保管している次回入荷予定商品になります。
そして、今回初めてイギリスの椅子張り工房さんに張り替えをお願いしましたので、仕上がりが楽しみです。

今のところ船積みを含め入荷日は未定ですが、進展ありましたらまたお知らせいたします。

他の買付け品を含め、次回の入荷もどうぞご期待ください。

 

カテゴリ

月別記事一覧