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運命

前回の買付けで連れ帰った、ビクトリア時代後期のミュージックキャビネット。
植物や鳥が描かれた繊細な象嵌も然ることながら、木目の流れに至るまで意匠の一部として作り込まれた英国家具です。

実は、この家具との出会いは、それよりも更に1年ぐらい前に遡ります。

ある日、現地のアンティークディーラーさんからメールをもらいました。
内容は「良いモノが出たぞ!」でした。

添付資料を開くとこのキャビネットが写っており、直ぐにでも欲しいと言いたいところでしたが、価格も決して即答できる数字ではありませんでしたし「やはり現物を見たい」と返しました。

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翌日、また連絡が来たのですが、その文章は「Sorry」から始まっていました。

このキャビネットを紹介してもらうまでには、間にもう一つ異なるディーラーさんが入っていたらしく、我々の返事を待つ前に買い手が決まったという内容でした。

業者間の取引ではこのようなケースもたまにあるのですが、売れたと聞くと余計に欲しくなりますね…。

そこで、どこの国のどの店が買ったのかこっそり尋ねると、業者ではなく個人で購入されたとのことでした。

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その売れてしまった家具が何故クレアアンティークスにあるかと言うと、運命の様なものを感じます。

この家具を購入されたのはイギリスのご婦人で、その後その方の屋敷に納められました。
実は、かなりお年を召されていたようで、その素晴らしい人生を送られたご婦人のご家族から「この家具を譲りたい」と言って頂き日本へ連れ帰りました。

もちろん今回は特殊なケースです。
そして、買い叩くのが仕事ではありませんので、その価値を落とさない金額で現地仕入れとして買い取らせて頂きました。

(クレアアンティークスでは、お持ちのアンティーク品買い取り及び委託販売等は行っておりません)

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この度、これらの経緯を全てお話して、「アンティークなモノは全てそうですよね(笑)」と言いながらこれからも大切にしてくださる方の元へ。

ずっとそこに在ったかのように、ぴったりと納まりました☆

 

鍵の中

過去のブログでも少し触れたことがある『鍵』ですが、メンテナンスを含み少しご紹介しようと思います。

先ず、家具に付いている『鍵』を大きく分けると3つあります。

写真(上) 鍵と取っ手が別々に付くモノ
写真(中) 鍵と取っ手が一体型のモノ
写真(下) 鍵のみのモノ

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仕様はそれぞれですが、全てに共通するのが鍵を掛けることで扉や引き出しが固定されます。
扉に関して言えば、鍵を掛けることで勝手に開くのを抑えるラッチの役目も兼ねています。
ですので、鍵のみが付いた扉はそれひとつで『鍵』・『取っ手』・『ラッチ』の三役をこなす重要なパーツです。

そして、下の写真は鍵のみが付いた引き出しです。
正面から見ると鍵穴だけがあり取っ手などが付いていませんので、ロックが掛かっているいないにかかわらずキーが無いと引き出しを引っ張ることすら出来ない仕組みになっています。
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余談ですが、引き出しの底には糊付けされた紙が敷かれていて、剥がすととても綺麗な状態でした。

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話を戻しまして、そのキーボックスを外しました。

実際に鍵は可動していましたがキーの回りが悪く、自分たちが買う側だったら中の状態も気になりますよね。
買い付けに際しては買う側なのですが、以前に書いた椅子の座面を剥がすのと同じで、買う前に分解したら叱られますので(笑)

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裏返すと稀に見る錆び様でした。

キーボックスにも幾つか種類があり、ほとんどの心棒は鉄製ですが、内側のカバーは鉄や真鍮とそれぞれです。
銅と亜鉛の合金である真鍮は加工性に優れ、緑青は噴きますが鉄のような朽ちる錆び方をしませんので、可動する鍵の中身として昔から使われていたのは納得です。
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もちろん鉄が悪いわけではなく、キーを抜き差しして回す度に擦れる心棒や板バネは、真鍮では代用できない鉄の特性を利用したものになります

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錆を取りクリーニングをして、錆止めを塗ります。

この際、磨き過ぎには注意します。
磨く=削ることになりますので、やり過ぎると余計な隙間が出来たり歪みが生じて、カバーの締りが悪くなったり鍵の動きがぎこちなくなることがあります。

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そんなこんなで、キーボックスのクリーニング完了です。

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あとは、キーの微調整をして。。

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キーボックスを元に戻せば完成です♪

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クレアアンティークスでは、お持ちの家具の鍵修理や合鍵作成も承っております。

その他のメンテナンスを含め、お気軽にお問い合わせ下さい。

 

訂正

先週更新しましたブログにて、内容に誤りがありましたので訂正いたします。

クレアアンティークス店舗入り口のドアについて書いた記事でしたが、オープン時から順を追ってご紹介したつもりが1枚すっかり忘れておりました。

下の写真、全面ステンドグラスのドアが三代目です。

このドアたちの今の姿はこちらをご覧ください。
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ですので、写真は前回と重複しますが、こちらは四代目となります。
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そして、本日五代目のドアが入りました。

高さの丁度良いドアが倉庫にありましたので、それを使うことにしました。
幅が7cm狭かったので、左右を3.5cmずつ足して大きさを調整しました。
ステンドグラスは回りに青いボーダーを配置してサイズを合わせ、最後に本体裏表を塗装して完成いたしました。
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作業の合間を縫って2日で仕上げましたが、ペンキは乾いていますのでどうぞご安心ください(笑)

皆さまのご来店をお待ちしております☆

Makeover

今更感は否めませんが、私たちクレアアンティークスは職人のみで運営しております。

営業日も少し変わっていまして、金・土・日は店舗営業、月・火・水は別棟工房にてメンテナンス作業や制作、出張作業などに充てています。
時折、買付けや出張に際しイレギュラーはありますが、オープン当初からこの形態で今に至ります。
ですので、比較的交通量の多い国道に面していますが、前を通られる曜日によってはいつも閉まっていてご近所の方でもお店の存在すらご存知なかったり、「週3日だけお店を開けて、あとの4日はお休みって羨ましい~」と言われることもあります(笑)

そんなクレアアンティークスですが、家具達が並ぶエントランスを進んで頂くと正面にドアがあり、その奥が店舗となります。

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下の写真は、オープン前の工事中に撮ったものです。
独立して初めての買付けで見つけた素敵なドアを設置する為、それに合わせた寸法で間口を決定しましたが、当初の入港予定が2011年3月の2週目でしたので到着が遅れしばらくドアの無い状態でした。
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その後、無事にコンテナが到着して取り付けが完了いたしました。
イギリスのパブで使われていた、雰囲気のあるソリッドオークドアです。

このドアたちの今の姿はこちらをご覧ください。
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ということで、二代目のドアを用意することになりました。
古い真鍮装飾や彫刻が組み込まれた重厚なドア(右側)
より店内が見えるように開口を大きめにし、突貫で制作したフラッシュドア(左側)

このドアの今の姿はこちらをご覧ください。
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三代目は現在のドアになります。
在庫の中に偶然サイズのピッタリ合うドアがあり、職人一同テンションが上がったのを覚えています。
そのため、左側はそのまま残してドアのみを交換しました。
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この度、こちらのドアが売約となり加工を行うと共に、四代目のドアをどうするか検討しています。

お納めは10月以降になりますが、完成をどうぞご期待ください☆
 

暑中お見舞い申し上げます

今年の立秋は8月7日ということで、本日が暑中お見舞い申し上げる最終日。
明日からは残暑見舞いとなり、少しずつ秋に近づいていますね。

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とはいえ、まだまだ暑い日が続きますね。。。(汗)
そして、冷房がない工房の壁に付けている年代物の温度計がいつか壊れないか心配しています。
もしくは、もう壊れているんじゃないかとも思っています。

そんな中、クレアアンティークスでは日々いろいろな素材を触るのですが、時折“火”を使う作業があります。
以前のブログで書きましたが、作業にあわせて道具を作る際金属を曲げたり焼きを入れたりする時にも使いますし、金属パーツを制作する際にも使います。

下の写真は以前のものになりますが、歴史的建築物の屋内装飾でした。
2つあるうちの片方が一式無くなっていましたので、許可を頂きお預かりして制作いたしました。

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切って削って、焼いて曲げてくっ付けてを繰り返す作業。
最後は磨いて、古色に仕上げて完成です。

続いての写真は、先日お預かりしたアンティークの卓上イーゼル。
受けを固定する装飾ナットが1つ無いので作って欲しいとのご依頼でした。
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ボルトのピッチ(ねじ山の間隔)が現行の物と合わず、これに合う古いナットを使うことにしました。
オリジナルは真鍮製でしたが、その古いナットを巻き込む形で加工しましたのでこちらは錫を用いて制作いたしました。

いずれにしましても、これぐらいの火で「暑い暑い」と言ってたら、いつもお世話になっている吹きガラス職人さんや金工職人さんに叱られますね(笑)


あらためまして、暑中お見舞い申し上げます。
いつも格別のお引き立てにあずかり、本当にありがとうございます。
暑さ厳しい折、皆様のご健勝をこころよりお祈り申し上げます。

職人一同元気に、皆様のご来店をお待ちしております。
今後ともご愛顧のほど宜しくお願い申し上げます。

平成29年 盛夏

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